鶴田北教室の新井です。先日、学生時代の友人と久しぶりに話す機会がありました。学生のときはこうだった,今では考えられないがこんなことをしていたなど、思い出話に花が咲いていました。その中で、当時お世話になっていたある先生の話が出ました。その先生は本当に厳しく私たちを指導してくれていました。生活態度や学習への姿勢についての言葉かけが厳しすぎて、周りには良く思っていない生徒も少なくなかったほどです。

そんな先生について、私は今でも鮮明に覚えている話があります。今日はこの話をさせてください。

私たちの卒業式の日のことです。卒業式が終わり、教室で雑談していた時に、先生は顔を出してくれ、私たちに1つの質問を投げかけました。

「人生で1番大切なものは何だと思う。1つだけ答えてみて。」

唐突かつ難解な質問に私たちははっきりとした答えを述べることができませんでした。その後の先生の言葉は次の通りでした。

「人生で1番大切なものは何だと思う。1つだけ答えてみてくれない。友人ですか。部活ですか。家族ですか。お金ですか。
その答えは“ない”からね。ないというのは、そんなものなんて存在しないという意味ではなくて、答えはみんなそれぞれ違うから、1つだけ答えるなんてできないという意味だからね。
みんなはこれから想像もしていなかった色々な経験をすると思う。そして考えや価値観が少しずつ変わって、大人になって、そしてようやく『自分にとって1番大切なものはこれだ!』ってものに出会えると思う。
先生だって、1番大切なものが何なのか、まだ分からないよ。でもその答えが見つかったときには、それを本当に大切にしていける人になりたいと思っている。

みんなも1つでいい。1つだけでいいから、本当に大切なものが見つかった時に、それを大切にして、その姿をこれから現れるみんなの後輩たちに伝えられる人になってほしい。そう心から願っているよ。」

私はこの先生の下で学べたことを誇りに思っています。私自身も未だに私の人生で「1番大切なもの」が何なのか、はっきりしていませんが、この先生のように、それを見つけた時には、それを大切にし、その姿を生徒たちに見せてあげられるそんな大人になっていきたいと思います。