2021年1月実施の大学入学共通テストでは、当初「国語」と「数学」において記述式問題の導入が予定されていたが、文部科学省は協議の結果、「採点ミスを完全になくすところまで至るには限界がある」「自己採点の不一致を大幅に改善することは困難」「実際の採点体制を明示することができない」などの理由から導入を見送られた。
全大学へのアンケート調査結果によると、「大学入学共通テストで記述式を出題すべき」について、肯定的意見は国立6.0%、公立11.5%、私立17.4%、否定的意見は国立93.7%、公立83.3%、私立81.5%。否定的意見が8割以上を占めた。
一方、「個別入試(一般選抜)で記述式を充実すべき」については、肯定的意見が国立78.3%、公立77.1%、私立51.8%、否定的意見が国立21.5%、公立17.7%、私立47.4%であった。
これまでに出されたおもな意見では、「記述式問題は採点者の裁量が大きく、採点ミスのリスクもゼロにならない。採点基準を明確にすればするほど、問題は画一的かつ単純な訓練で回答が可能となり、本来問うべき表現力から遠ざかる。各大学が独自に問題を作り、自前の採点者が自前の採点基準で採点すべき」「共通テストで一律に記述式試験を行う必要はない。また、個別試験でも一律での導入を避け、その採否も含め大学の自主性・自律性に委ねるべき」などがあった。