こんにちは、進光ゼミナール江曽島教室 室長の山城で御座います。

 

近隣の中学校では、期末テストの結果が返され始め、学校によっては休む間もなく、実力テストが待っている所もあります。

江曽島教室では、先日のテスト前までの間、中学生は全学年、期末テストの対策に特化した対策をおこなって来ました。

対して、実力テストや下野模試は、過去の学年の範囲を含んだ、期末テスト勉強とは、まったく競技性の異なるテストです。

江曽島教室に通ってくれている生徒様の中には、期末テストと実力テストの時期が被る中学校もあり、どちらの勉強を優先したらいいのか、難しかった部分もあったかと思いますが、実力テスト前になると「明日の実力テストは、去年の学習範囲だった、おうぎ形の面積の求め方の公式を覚えてないと解けないから、そこだけ見直しておいてね!」や「コンパスの作図は、必ず1問は出題されるから、練習しておきなね!」とお声がけをしていました。

実力テストの直前まで、期末テストの範囲で最高の点数を取る為の学習に、どの生徒も全力で取り組んでくれていた姿を私も塾内でつぶさに見て来たので「実力テストは、期末テストの試験範囲と大きく異なるから、学習が大変」とおっしゃる生徒 様がいらしても「そっかそっか。勉強しなきゃいけない範囲も とても広いし、大変だよね」と、是非、ご家庭でも労ってあげて下さい。

期末テストでも、実力テストでも高得点を狙うことを望まれる保護者の方もいらっしゃいますが、その両方で高得点を取ることは、『10年、板前として修業をしてきた和食の料理人に対し、「同じ料理なんだから、次の1年で、プロのフレンチ料理人にもなれるでしょ?」と言っているようなもの』です。

例え、どちらかでしか結果が出なかったとしても、特定の科目でしか成果が出なかったとしても、そこに視点をフォーカスさせて、『よこくここまで頑張ったね!』と声を掛けてあげてほしいと思っています。

私共のような血縁関係のない人間からの言葉より、親御さんからご本人達への “承認をしてあげる言葉” は、その何倍も嬉しいものです。

 

 

 

そうした中で、江曽島教室に入塾してから、人一倍、自習に励む生徒様が、江曽島教室にもいました。

「部活を引退するまでは、勉強が嫌いで仕方なかったけど、勉強が少しずつ分かるようになって来たから、楽しい」と、日に日に自習に来る時間と回数が増えていき、とても良い表情で「ねぇ先生先生?ここはどうやってやるの?」と、まだ取り組んだこともない単元の解き方について、自主的に質問をしてくれるまでに、学習に積極的になってくれていた子でした。

期末テストが終了した当日 や 良い点数を取ることが出来た科目のテスト返却がされた日も、わざわざ自習に来て「思ってたより、結構できたと思うよ!今日も自習していくわ!」と、にこやかに受け答えしてくれていました。

しかし、点数の芳しくなかったテスト返却があった日、いつになく浮かない表情で塾に足を運んでくれました。

「どうしたの今日!全然元気ないじゃん!」と声を掛けると「めっちゃダメだった…」とテスト前の “学習に対して前のめりな表情” は一切、彼の顔からは消え去っていました。

その後、いつも通り自習をして、その日は帰っていきましたが、学習中も上の空で、勉強内容がほとんど頭に入っていない様子でした。

「テスト結果を受けて、学校の先生やお父さんやお母さんには、なんて言われたの?」と聞くと「『呆れた。今まで何をやってたの』って言われたんだよね…」と、か細い声で話してくれました。

ここで私は、「彼の学習への勢いは、ここで一度、止まってしまうな」と感じ、とてもつらい気持ちになりました。

彼ら生徒は、こうした思いをテストが来る度に、4回ほど経験することになりますし、それが心身のストレスとなり、その日、学習に向くエネルギーが少なくなってしまうことを 私は、とても残念に感じます。

大人に見せづらいテストの点数をとった日、家に帰るまでの間、彼らに新たな知識を入れることに使われる脳の容量は、ほとんどありません。

なぜなら「この点数を見せたら、お父さんに何て言われるかな。お母さんに何て言われるかな。塾の先生に何て言われるかな。『何でこんな点数を取ったんだ』と言われたら、何て返せば、怒られずに済むんだろう」を考えることに、脳の全神経を集中させるからです。

それは、ひとつでも多くの知識を1日でも多く入れなくてはならない生徒にとって、何より無駄な思考と言えるでしょう。

その度に、例えば「呆れた」、「一体、何を勉強してたの?」と、人格や今までの自分の勉強を否定されるような言葉を投げかけられるかも知れませんし、それに対して身構える機会が、

①お母さんに、芳しくないテストの点数を見せる時。

②お父さんに、芳しくないテストの点数を見せる時。

③学校の先生から、芳しくない点数のテストを返却される時。

④塾の先生に、芳しくないテストの点数を見せる時。

の約4回ほどあります。

子どもたちは、その4回が訪れる度に毎回、怒られない為の言い訳を必死に考えます。

ただ、その言い訳を考えさせることが、私たち大人が、子供たちの成長の為にすべきことでしょうか?

また、子供達が、テストで芳しくない点数を取った際、そうした思考に至ってしまう原因は、それまでの間に「こういう良くない点数をとってしまった時は、怒られてしまう」という恐怖心が植え付けられているためである場合もあります。

そうではなく、私たちに必要なことは「次、同じような点数を取らない為には、何をするのが良いと思う?」と伝えて、その行動を脅迫的に決めさせるのではなく、自発的な動機から決めてもらい、それを継続する為に、1, 2ヶ月後になってサボりたくなる気持ちを自制する心持ちを自分の力でキープできる手助けをしてあげることではないでしょうか?

「呆れた」、「今まで、何を勉強していたの?」と声を掛けるのは、私たち大人が、感情の赴くままに、個人的な感想を自分勝手に吐露したいと考えてしまって、出て来てしまうものではないでしょうか?

そうした声がけをしたとして、私たちは、彼らに一体、何と返してほしいんでしょう?

その声がけをすることで、生徒が「もっと勉強を頑張ってみたいな」と思うでしょうか?一体、どんな効果を見込んで、その言葉をぶつけているでしょうか?

これは、「まだ帰りたくない」とだだをこねる幼児に「もう、知らない!」と突き放す言い方をすることと同じで、ご両親からお子様への突き放す言葉は、大きなトラウマを植え付けてしまう場合もあり、その出来事に紐づけられてる “勉強” というワードからも遠ざかりたくなる子供の気持ちを助長してしまう可能性があるそうです。

 

また、同じようなご相談で「なかなか勉強時間を確保しようとしない」、「全然、自習に行かなくて、困っている」というお言葉も頂きます。

それに対する対処法として「何で、もっと長い時間、勉強をしないんだ!」、「自習に行け!」と怒鳴ってしまうケースがあるそうです。

これは、全くもって逆効果です。

“北風と太陽” のお話と同じで、私たちの「無理矢理、勉強時間を引き延ばさせること、自習室に行かせることを強要する」という行動には、子供達も自分で行いたい行動選択の幅を奪われてることから反発しますし、その逆の「『興味を惹かれるから学習をしてみたいな、しなきゃな』と、自分から思いたくなる時って、どんな時だろう?どういう影響を外部から受けたら、自分から『してみようかな』と思うだろう?」を考え、相手がその行動選択をしたくなる状況・心境を作り出すことが「お母さん、俺、自習いってくるわ」と言わせる為に必要なことと言えます。

自分なりに、一生懸命仕事をしているつもりなのに「お前の仕事ぶりには、呆れたよ。今まで、何をやってきたの?」と言われたら、私たちはどう感じるでしょう。

そうしたお言葉を選ばれる親御さんに限って、お子様が今回のテスト勉強で、どんな文法やどんな計算が出来るようになり、その手法を使ってどの問題でマルをもらうことが出来ていて、逆に何を失敗したことによって減点があったかを把握しておらず、「自分の思い描いていた理想点に、達しなかったから、努力してない。前回より下がったから、ちゃんと勉強していない」となさる方が、多くいらっしゃいます。

その原因は、勉強をちゃんとしていなかったのではなく、テストのペース配分を間違ったせいかも知れませんし、テスト本番のプレッシャーに押しつぶされ、計算方法をド忘れしてしまったせいかも知れません。

私は、そうした現場状況の原因は、本人に聞かないと分からないと考えており「何でこんなことになったんだ!」と相手が本当の問題点を言いづらい語気で迫るのではなく、なるべく「実は、こんなことがテスト本番にあってさ…」と本心を話しやすい聞き方で、テストの振り返りの面談をおこなっています。

そうすることで「そっかそっか、その部分は出来ていたんだけど、ここで誤ったやり方をしてしまって、ここの失点につながっていたんだね」と、その子の失点原因の本質を見つけ出し、対策をすることができるようにしています。

 

また、『学習の成果が出始めるのは、3ヶ月 ~ 半年後』と言われます。

そのメカニズムとして、学習の成長曲線というものが存在しており、親御さんやご本人の中の理想と、学習成果が表面化する成長過程に、以下のようなギャップがあると言われています。

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「ちょっと頑張ってみるんだけど…すぐ成果も出ないし、諦めてしまい、やっぱりそのまま結果が出ない」という子は、赤い線がほんの少し上がり始めたところで、成果が出ないからという理由で諦めてしまうため、また赤い線がゼロの位置まで戻ってしまうからだそうです。

中学1、2年生の間、学習をする習慣から離れ、2年近いブランクがあったにもかかわらず、夏期講習や数か月そこらで、それを取り戻した上で、更に今3年生で学んでいる学習範囲も解けるレベルまで持っていくことは、到底できません。

最初の大きな伸びが来るまで、3ヶ月~半年間、大きな変化がなくても積み重ねを続けることでしか、伸び始める時期には辿り着けません。

また、そこにたどり着くまでの勉強時間を支え、それを倍々ゲームで伸ばしていく方法は、恐怖政治や怒声で長時間勉強を強要することではありません。

「今回のテスト、数学と社会は、めっちゃ伸びたじゃん!満点サバイバルも自習も欠かさず来て、計算の仕方を学んで来たおかげじゃないかな?英語は少し残念だったけど、動詞の過去分詞形は、最初は書けなかったのに、語句問題で、4問も合ってるじゃん!元々、一般動詞とbe動詞の違いすら分からない状態で、夏期講習を始めたんだから、今のままいけば、語順入替え問題なんかは11月頃には、自然に入れ替えられるようになるんじゃないかな?!!だから、今日も自習ちゃんと頑張ってこーな!」と、彼らの学びへのモチベーションの熱を冷まさないことです。

そこで「うん!俺、頑張ってみるよ」と自分から言わせることが出来れば、それは首根っこをつかんで2時間、嫌々ながら勉強させるよりも、遥かに容易に4時間半、気付いたら能動的に勉強をしてくれていた、という状況を作れますし、それが間違いなく、本人の意志が途切れない限り、継続していくと私は確信しています。